翁先生の操法 3

足を伸ばしてゆくと、その足首のところをどっしりと支えてくれる翁先生の右手。

   「からだじゅうぜーんぶ動いていいからぁ、気持ちよーくよォ」

と翁先生。

 

 

このときの感覚は、自分で動いているという感覚は薄く、どう感じ取っても気持ちのいい動きをさせられてしまっているという感覚の方が色濃かった。
かといって足を引っぱられているわけでもないのだ。

膝が伸び、腰がねじれてからだが動かされてしまうこの動き、そうしようとする意思はあるわけだから無意識の動きとも違うし、普通の意識して動く動きとも違う感覚なのだ。

両方が入り混じった動きとでもしておいた方が近い気もするが、はっきりと説明できないから、まずはこんなおもしろい動きもあるということだけにしておこう。

しばらくして

   「はいストン」

と翁先生。

私は浮いていた膝を床にドスンと落とした。
これで、カカトがおしりにペタンとつくようになった。

 

 

この操法を受けて感じたのは、安心感だ。
翁先生は私の伸びてくる足を支えてくれていたのだが、その支えるときの体勢とイメージがポイントになるものと思われる。

からだの中心で足の動きに抵抗をあたえながらその動きを中心に吸収するかのような感覚にするのだ。
なんとなくイメージできるだろうか。

これは無言ではあるが、翁先生に教わった安心感を生む抵抗の極意4。

 

前頁   HOME   目次   次頁

inserted by FC2 system