次はカエル足操法だ。
「こうやって、膝、脇の下さ引っ張れぇ」
と翁先生は私の右膝をちょっと外に向けて曲げてくれた。
このちょっとしたお手伝いが、あるのとないのとでは動きやすさがとても違う。
特に初めての人などは、これがないとどう動いたらいいのかわからずにオタオタ変に動いてしまい、
「ヒトの言ワネゴドすんな!」
と翁先生にイキナリ怒鳴られ、気持ちよさどころではなくなるのだ。
翁先生も、言葉だけで
「ひざ、ワギさ上げるんだってば!
なんぼ言ってもわがんねぇもんだなぁ!」
など何度も繰り返しているうちに、自然にあみ出したウラワザなのだろう。
動診の結果、私は左が上げやすかったのでそう告げた。
「この膝、ワギさずーっとひっぱれぇ」
翁先生は私の足首のあたりを持って引っ張って
「気持ぢのいいように、からだじゅうみーんなうごいでいいがらぁー」
・・・・・
「はい、ぐにゃっと」
、、、、、、、、、、
「一息入れて休んでー」。
(操体の本には3〜4回やるとあるのに、このときは1回やっただけでよくなった)
この動きを味わった私の感想は、やはり、最初のなにげないウラワザがよかったことと、左足の抵抗とともに右膝ウラへのなにげない抵抗であった。
翁先生は私の左足首を左手で引き、ほんでもって右膝のウラに右手を添えておく感じでそっと支えくれたのだ。
この右膝ウラへの右手だが、あるのとないのとでは、ぜんぜん違う感覚になる。
もちろんゴツゴツとヘタクソに置かれるくらいなら、余計なお世話になるだけで、ない方がマシなのだが、上手にふわっとしっかりと支えられれば、気持ちがいいという極意3と一緒だ。
私が引っ張る左足と伸ばす右足の両方に的確な抵抗をかけ、その動きを活用して翁先生も気持ちよく動く。(極意2)
そんな操法だったのだろう。
ほんのささいなウラワザとなにげない抵抗が、気持ちのよさに大きく影響を与えるのだ。
これが充実感を生む抵抗の極意5。
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