5.カワを感じる:かわの操体

 カワの操体を一度味わうと、イメージを使って皮膚の感覚を呼び出し、姿勢の調整や自己治療に使う事が可能になります。

以下のエクササイズを、遊び気分でやってみて下さい。

 

感覚スケッチ

 

感覚をつなぐ

物理的には カワ(皮膚)は全てつながっていますが、意識の中ではバラバラになっています。

ばらばらになっているカワの感覚を 意識の中で繋ぎなおしてみましょう。

自分の感じ取りやすい(足の先でも、頭のてっぺんでも、手でも)ところからはじめ、順々に 皮膚の感覚を追って行って、全身につながれば成功です。

足の指から順番につないで行く例を載せます。

  1. まず 両足の小指のカワ(皮膚)を意識し、感じ取るようにします。
  2. 次に 隣の指(薬指)のカワを感じ取ります。
  3. 小指と薬指の感覚をつないで ひとつにします。
  4. さらに中指を意識して 小指から中指までの三本の指を同時に感じるようにします。
  5. 感じがわかってきたら、そのまま どんどん継ぎ足していきます。
  6. こうやって順々に 足⇒胴体⇒頭⇒腕⇒手 と、感じる範囲を広げるように全身をつないで行きます。
  7. 途中に 痛みや痒みなどの感覚があるときは、それも感じ取り つないでいきます。
  8. 最後は一度に(同時に)全身を感覚するようにします。

ここに載せたやり方は 厳密にやる場合の例で もっと大雑把にやってもらっても結構です。感じ取っていく順序も やり易いようにして下さい。

人に手伝ってもらうときは、基本操法:ふたりで操体の 「ゆらしゆびもみ」を してもらい、終わった後の余韻を 全身で感じるようにします。

 

不快感覚をつなぐ

  1. 痛みや恐怖・不安感などの「不快な感覚」がある場合、その感覚(痛み)の範囲を感じ取って見てください。「だいたいこの辺り」というのではなく、その感覚(痛みなど)の正確な範囲を感じ取ってみてください。(感覚スケッチ)
  2. 痛みの範囲(輪郭)が はっきりしたら、その輪郭線の外側(周囲)の皮膚を感じ取ってみます。「なんともないところ」を感じるのは難しいように思うかもしれませんが、痛みの周囲の上下左右を意識しながら探してみると、感じとりやすいところがあります。多少、離れていてもかまいません。
  3. わからない時は 痛みの範囲の外側に 手を当てて、触れる感触や手の体温を感じ取るようにしてみてください。
  4. 痛みの外側に「感覚」を感じ取ることが出来たら、その二ヶ所の感覚 を、意識を使って繋いでみて下さい。(感覚をつなぐ)
    二つの別々にある池をつないで、一つの大きな池にするようなイメージです。
  5. さらに それを、末端(手足の指先や頭や顔)まで引き伸ばして行きます。二つの池が繋がって出来た大きな池から 川が流れ出していくようなイメージです。
  6. どうしても通りにくいところがあれば そこに手のひらを当てて温めて 通り始めるのを待つのもいいし、通りにくい部分を迂回して 感じやすいところを探りつつ繋いで行く、という事でも結構です。
  7. 線状につなぐだけでなく、太く帯状にしてみたり、さらに広く身体いっぱいに拡げたり、という事もやってみてください。つながり、や、ひろがり の感覚の中で「部分の感覚」を受け取ることがポイントです。 広がったら、その味わいの中に浸ってください。 
  8. 何度もやっていくうちに、「カタマリ」として全身から分離していた感覚が、他の場所の感覚とつながることで、徐々に融けつつ変質していくのが分かってくると思います。
  9. 時々深呼吸をしたり、からだを動かしたり 何か飲んだりしながらすすめるようにします。

 

快感覚をつなぐ

不快な感覚で 出来るようになったら、 快感覚 も、捕まえてみましょう。

気持ちよさもまた 多くを カワで感じ取っています。

キモチのいい風やぬいぐるみや布、木肌や土の触感を肌で感じたり、生きているものの温かみを(自分の手でもいいのですが)じっくり感じてみてください。

このような直接的な 皮膚感覚だけではなく、きれいな風景に出会って感動したときや、いい音楽、自然の音に出会ったときも からだが 反応しています。

これらの気持ちよさも 感覚スケッチしてみたり、皮膚を伝って引き伸ばしたり、広げたりして 遊んでみて下さい。

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