3.部位別
かわ(皮膚)は、すべてつながっていますから どこから始めても構いません。
症状のある場所から始めても構わないし、一見 症状とは関係のなさそうな、離れた部位から始めても構いません。
隣り合った二箇所を 同時にやってもいいし、裏表からサンドイッチするように手を置いて同時にやっても構いません。
ただ、その場所その場所で やり易い形というものは あります。
イラストに頼りながら 試してみながら、自分で工夫してみてください。
3.部位別:あたま
あたま
あたま(髪の生えている部分)のカワ は どんな姿勢をとった場合でも、指の腹の柔らかいところを張り付けて動かすことになると思います。
狭い範囲を動かすなら指一本で間に合いますが、広い範囲のカワを動かすときは 複数の指を同時に使うことになるでしょう。
頭のてっぺんや 髪の生え際(前も後ろも横も)あたりのカワは 全身との関係が深そうです。
特に、頭のてっぺんの部分へのカワの操体は、自発的な無意識運動が起きることが多いようです。
頭を手のひらで包むように触ってみると、アタマの骨の形が歪んでいるように感じられる事があります。
こぶの様に膨らんでいたり、逆に凹んだり、びちっと貼りついて溝のようになっていたり、と、でこぼこした感じになっている事があるのです。
そういうところは、頭痛が起きやすいところだったり、いつも痒いところだったり、癖毛や白髪がまとまって生えてくるところだったり、カワが固く貼りついてズラそうとしても動きにくくなっていたりします。
反対に カワがあまって ぐにゃぐにゃしているような状態のカワもあります。
このような部分は、たいていは感覚が鈍くなっているので、「応用」のページに書いてある 「つまみあげ」 を 試してみてください。うまくつまむことが出来ないときは、そおっとであれば、爪を引っ掛けるようにしてつまんでもいいと思います。
いずれにしても、皮膚の硬いところは全身への連動性が小さいので その部分だけで終わらないようにして、時間がなくても 顔や首の周りのカワの操体で仕上げるようにした方がいいと思います。
悲しい映画を見て 号泣した後、頭のでこぼこが消えてしまったという例を聞いたことがありますが、頭のカワと感情との間には、なんらかの関係がありそうです。
顔
髪の生え際、おでこ、眉、眉間、目の周り、頬っぺたや顎、耳の周り、鼻とその周辺、など、ほとんどが 指をそろえて あるいは 開いて使います。
頭と同様、貼りついて鈍くなっている場合も多いので、つまみあげ を 併用した方が進めやすいでしょう。
歯や歯茎、顎、目、鼻、耳、のど、など 顔の近辺に出てくる症状だけではなく、精神的な辛さを抱えているひとにも 助けになると思います。
耳の上の髪の生え際辺りを 上方向にずらして慢性的な膝の痛みが消失した例や、顔を半分だけ緩めたら脚の長さ(からだの左半分と右半分の緊張のバランス)が変化してしまった例など、全身と連動しているとしか思えないような報告もあり、まだまだ可能性を秘めている場所だと思います。
耳
座ってもらってやるときは 正面か 後ろから、寝てもらってやる場合は 頭の上に座ってやると やりやすい思います。
耳を 頭のカワが飛び出してきた一部 と考えて 全体を指で柔かくつかみ、いろいろな方向に引っ張ってみます。
全体をつかみにくければ、上の方、真中あたり、下の方(みみたぶ)と分けて 各々の部分を摘んで引っ張ります。
引っ張る方向は 上下と前後 と考えるとやりやすいと思いますが アタマから引き離すように まっすぐ引っ張り上げるのもキモチいいことが多いようです。
慣れてきたら 方向を組み合わせてみてください。
きもちいいと感じる方向が 見つけにくければ、つまんで痛いところを見つけて その部分をつまんだまま 引っぱってみます。
つままれた痛みが減る方向を探してください。
軽くつまんだだけで飛び上がるほど痛いところは そっと保護するように摘んで 指の温度で溶かす心持でいると 数分でつまむ事が出来るようになります。
耳の、特に内側の皮膚を 意識して引っ張ると 耳の穴の中を引っ張る感覚が出ます。
耳の、外側の皮膚を意識して引っ張ると、首や顔、頭のカワを引っ張るような感覚が出ます。
くび
仰向けに寝てもらい、頭の上に座って行うと やりやすいでしょう。
首の後ろ側で アタマとの境目あたりのカワを 上下左右それぞれの方向に動かしてみて キモチよさを訪ねます。
上方向に引っ張るのがキモチいい場合は、首のところから、腰のあたりのカワを引っ張り上げているような心持でやるといいでしょう。
左右への動きは 本人の力が抜けておれば、顔がくるりと横を向いてしまうように 頭がついてきます。
その方がキモチよければ 自由に動いてもらいますが、逆方向に顔を向ける方がキモチいいこともあります。
のど
少しでも圧すと気持ち悪かったり、咳き込んでしまったりする事が多いので カワをつまみあげたまま いろいろな方向に引っぱってみて キモチよさを尋ねてみてください。
耳の周辺や顎、胸や腕との関係が強いので 喉だけにこだわって触りつづけないようにしましょう。