1:かわの操体の基本

姿勢

本人は立っていても、座っていても、横になっていてもかまいません。
楽な姿勢で行います。

操者は、時々自分の息を観察してみて下さい。
深く、大きく ラクに呼吸しているでしょうか?
そうでなければ、一度手を離して 距離を取り直してください。
近づき過ぎてても、離れ過ぎてても腕や肩にリキミが生じて不安定な触れ方になります。

 

触れる

自分の手の「皮膚」と、相手の「皮膚」とが、ぴったりと貼りついた状態で皮膚(相手の)を動かします。
相手(本人)が「キモチイイ・キモチヨクナイ」を感じわけやすい触れ方です。

  1. まず、手の力を抜いて相手の体にふわりっと置きます。

  2. 背中やおなか、腕、足など広い面積の所は手のひらの全面、顔や頭など狭いところは指の腹を使うなど、自分の手や腕が一番ラクに感じられる手の置き方を探します。

  3. 相手に触れる部分がどこであっても、触れている自分の皮膚を均等に感じ取るようにしていると、緊張がさらに緩んできて、手のかわ(皮膚)がリラックスして来ます。

  4. 「リラックスしたふんわりした手」に触れられていると、触れられているほうのかわ(皮膚)も、一緒にリラックスし始め、より動きやすい状態になって来ます。

  5. 触れている人にとっては手が吸い付いたような、相手の皮膚と自分の手の皮膚が一体化したような感じです。

  6. 触れられている人にとっては、「ただ触れられているだけ」で 気持いい状態です。

  7. 素肌に触れなければならないわけではありません。服の上からでも大丈夫です。

 

動診


動かしてみる

皮膚と皮膚との一体感が出てきたら、出来るだけ筋肉に触らない(圧さない)よう注意しながら、皮膚と水平の方向にかわ(皮膚)だけを、ずらして下さい。

かわの操体:動診

動かす方向としては、上下左右ナナメの8方向が考えられますが、8つの方向をやたらめったら試すと混乱します。

かわの操体:動診2

 

たとえば、上方向と、下方向。
あるいは、右方向と左方向、など。
一組の「反対方向」を試してみるのがわかりやすいでしょう。
冒頭の「やってみよう」を参考にしてみてください。

かわの操体:動診3

かわの操体:動診4


感覚を確かめる

・本人は 動かされる方向 ごとに 「違う感じ」がするのが わかると思います。

・ これらの感じの中から、キモチいい・キモチよくない という感覚を見つければいいのです。

・ 捉えやすいのは 不快感(窮屈な感じ)です。

・わかりにくい人でも 何度も ゆっくりと、交互に試しているうちに、次第にわかって来るものです。

・初めてかわの操体を受ける人には 「どっちの方向に動かしたとき窮屈さを 感じますか?」 と聞いたほうがスムーズに進みます。

・ 「どっちがキモチいいですか?」と聞いてみてもいいのですが、初めから肯定的なもの(キモチよさ)を探すように促されると目的追求の努力(がんばる意識)が出てしまう人が多いようです。
頑張る気持があると 感じることをやめてしまい、アタマで考え始めるのでわけがわからなくなってしまいます。

動かす


どっちに動かすか
  1. キモチよくない(窮屈な)感じのする方向が見つかったら、その反対の方向に そっと皮膚をずらして下さい。

  2. はじめから ラクな方向や、キモチイイ方向が見つかった場合は、その方向に動かします。

  3. 「どちらもキモチイイ」という場合は、両方とも行います。片一方づつ、交代に行いますが、たいていの場合、どちらか一方が先に「満足」して来て、「もう要らない」という感覚が出てきます。

  4. どっちの方向も「気持ちよくない」という場合もあります。そんな場合は、別の方向を試して見て下さい。上下方向がどちらも 気持ちよくないときは 左右方向の確かめに切り替える、というように。

  5. 手で触れている部分だけでなく、広く長く遠くまで、相手のカワを感じ取るようにします。

 

どのくらい動かすか
  1. 窮屈さを感じない程度、あるいは、キモチよさを感じられる範囲 を 超えないようにします。

  2. ヒトによっては1ミリ動いたかな?・・という範囲の場合もあります。非常に大きな範囲を、カワを引き伸ばすようにズラした方が、気持ちいい場合もあります。

  3. 動かさずに触れているだけが「いちばんいい」という場合がありますが、そういう時は、「動かさない」でただ じっと触れていて下さい。

 

味わう

「イイ感じ」のする方向にかわ(皮膚)をずらせたら、そのまま手を止めて、本人に「イイ感じ」を、味わってもらいます。

キモチイイと感じていられるだけの間 とどめます。

「気持ちよさがなくなったら教えてください」と言って、合図をしてもらうと終わりのタイミングがわかります。

カワを戻す

もういい、という合図があったら(あるいは、気持よさがなくなる直前くらいを見計らって)ずらしたカワを元の位置に戻します。

元の位置に戻しても、いきなり手を離さないで、しばらくの間、手をそのままにして、余韻(手足の先まで緊張が溶けていく感じ、血流が通っていくようなジンジンした感じ など)の感覚を味わってもらいます。


注意のおきどころ

手を触れているところだけを見つめないようにします。
「目に見えている範囲」の風景全体を意識して、相手の全身がなんとなく視界に入っているように(とはいっても、目を大きく見開く必要はありません)していてください。
周囲の音に耳を澄ませているような心持ちという言い方もできます。

 

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