膝痛、おかめばあちゃん コン

日 時 :?2002/08/01 10:

昨日、右の膝が痛くて伸ばせないというおばあちゃんが、
足をひきずって、よっこらよっこらひとりで歩いてきました。

にっこり笑顔がおかめに似ているので、「おかめばあちゃん」
と名づけました。

おかめばあちゃんは以前にも何度か来たことがあって、
そのときもやっぱり右膝の痛みで正座ができないとのことでした。
でも今回は、正座はできるけど、膝が伸ばせなくって歩くと
痛いということでした。

「前の時は、右膝が痛かったのに、せんせが押さえたら、
左の膝のウラが痛くなっていて、そこが直ったらこっちの膝が
治ったんですぅ」と、おかめばあちゃんはいいました。

カルテを見ると、やっぱり左膝ウラにバツ印かついていて、
左のつま先上げと、ひざたおし左へ、うつぶせの右足伸ばしを
やったことになっていました。

「どれどれ」と私は仰向けになって膝を立てているおかめ
ばあちゃんの膝ウラを調べてみました。
ぐりぐりして「あらららっ、これ痛いでしょう、やっぱり左だねぇ」

「あらーっ、やっばり左だぁ、あいたたたっ」

私は、「はい、ではこの左のつま先を上げてみてぇ」といいながら、
膝ウラを調べてみました。ごりごりしていて変化なしでした。

「これじゃあ消えないねぇ」。「あいたたたっ、まだ痛いですぅ」。
「それでは右肩上げてみてぇ、今度は左、消えないねぇ」

「首ねじってみてぇ、おっ、左にねじるとなくなるねぇ、
ちょっと右にねじってみてぇ、これ、出てくるねぇ、もう一回左」
といって、くにゃくにゃになった膝ウラをクリクリ押さえ、
からだは、首を左にねじりたがっていることを確認している私でした。

おかめばあちゃんは、「首を動かして膝痛くなくなるんだぁ」と
ひょっとこのような顔をしてびっくりしていました。


日 時 :?2002/08/01 20:

私は、膝を立てて寝ているおかめばあちゃんの首の後ろ側を触診しに

行きました。

左右をくりくり探ってみると、左が硬くなってゴリッとしていました。

「ちょっとここ痛いですねぇ、こうやって首を左にねじってみてぇ」と

私の左指先はおかめばあちゃんの左首のコリをとらえつつ、

左手のひらと手首は左ほほに当てて抵抗をかけ、右手の指で右ほほを

軽く左へ誘導するという絶妙かつ高度なテクニックで対応しました。

そのとき私の口は、「首を左にねじりながら、ちょっとアゴを上げ

て、ここの押しているところの痛みがなくなるようにぃ、

そうそう背中も肩も自由に動かしていいですから、腕をねじったりし

てもいいですよぉ、腰も足も自然に動きたいように動かしていいです

からねぇ、気持ちのいいように体全部で味わって、抜きたくなった

ら抜いてよぉ、」とヘラヘラすらすらいいました。

おかめばあちゃんは、慣れているせいもあって、私の言葉と抵抗に

ホイホイのせられて、首ねじりアゴ上げから全身を左にねじるように

きれいに動きました。

アゴが上がってきたときに、私の右手は後頭部を引き込む抵抗をかけ

る係にシフトします。

これがあると、気持ちのいい連動がスムースにでやすくなります。

そしてホッと脱力するおかめばあちゃんの動きに合わせて、

私も手の力をゆるめました。

「はい、ひと息入れて休んでよぉ」

「どうでしたぁ、キモチイイ感じでした? 」

「はい、すぅーっとしました」

「くびのこの痛みなくなりましたねぇ」と私は左の首を押してみました。

「はい、痛くないですぅ」

「これでちょっと膝を伸ばしてみてください」

おかめばあちゃんは、静かにおそるおそる伸ばしなから

「あらまぁ、だいぶ楽に伸ばせるぅ」(^^)。とのことでした。

これで、「すっかりのびるようになりました」。となればいいのですが

まだ、まっすぐには伸びませんでした。

「はいはい、無理に伸ばさなくてもイイですから、膝を立てておいてください」

ここから、右膝の下にマクラをおいての操法がはじまりました。


日 時 :?2002/08/02 12:

私は、おかめばあちゃんの膝が伸びないようにマクラを
膝の下にしいてみました。

膝の下といっても、ふくらはぎの上の方、膝の真後ろ、
モモの下の方といろんな所においてみて、一番いい感じの
所に設置します。

おかめばあちゃんは、私の予想を裏切って、ふくらはぎの
上の方がイイ感じだと言いました。

ここから、患部というか、痛がっているところを直接、
カワの操法を工夫してやってみることになりました。

私は真横から、おかめばあちゃんの左膝のサラを挟むよう
に両手をそっとモモとスネにセットしました。

そして、そこのかわを、上、下、内、外と動かしてみて、
どれがいい感じかきいてみました。

「モモもスネも上に動かしてもらうと気持ちがいい」
おかめばあちゃんは、迷わずに答えました。

私は、両方のかわを上にずらしながら
「これぐらいでいいですかぁ、こうだとどうですかぁ? 」
左右の力加減を微妙に変えながら、ききました。

モモを上に動かす力を強めにするとイイ感じがするとのこ
とでした。
そうしながら私は「足首をひねったり、膝を曲げたり伸ば
したりして気持ちのいいように動いてもイイですよぉ」と
いいました。

おかめばあちゃんは、もぞもぞと足首を動かしてきました。

「膝の中がすーっとイイ感じになるように、腰もゆっくり
動かしてみてイイですよぉ」私はそういって、うごめく脚
の筋肉の様子を手のひらで観察しつつ、上体の動きを誘発
させながら、膝が伸びないように固定しました。

「もういいなあって思ったら、力を抜いてイイですよぉ」

ふわーっと脱力しました。

そうしたら、さっきまでは伸ばせないといっていた膝なのに
「せんせぇ、なんか脚を伸ばしてみたい感じなんですがー」と
いうのです。

「では、押さえておきますから、静かに伸ばしてみてー」私は
マクラをしたまま、おさえていいました。

伸ばしなから、「伸ばすのがいい感じになってきましたー」と、
ひざの感覚をしっかりとらえていう優秀なおかめばあちゃん。

「伸ばす力だけを入れたいようですねぇ、膝はこう曲がった
ままでいいでしょう? 」。

「どうなっているのかわかりませんけど、こうして伸ばすのが
いい感じですぅ」

膝は曲がったままでした。

「動きは微妙に変えてもイイですから、イイ感じになるように
動かしてぇ」

「抜きたくなったら、抜いてくださいよー」

おかめばあちゃんは、足首も腰もモゾモゾ味わって、
ゆっくりと脱力しました。

そして、起きて立って歩いてもらったら、

スタスタ歩けるようになっていました。

カワのちょっとした動きで、伸ばすとつらかった膝が

伸ばしたくなってしまうのですから、びっくりでした。


そして、次の日もう一度来室したのですが、ほとんど良く
なっていて、カワの動きの気持ちよさはなしでした。

せっかく来てくれたので、トイレット操法を復習して、
おわりにしました。



[原文 No.2990 - 2002/08/01 10:37
 No.2994 - 2002/08/01 20:57
 No.3007 - 2002/08/02 12:25]

 

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