頭痛、肩こり、不眠 コン
「母と子」の操体ものがたり1
お母さんと息子さんが一緒に来室しました。
母30歳、子供5歳。
一年前にも二人で来ていて、教わったことをやっていたら子供のぜんそくが良くなったらしい。
今回は、母がひどい頭痛、肩こりで眠れず、精神的にもめちゃくちゃ、病院、神頼み、お払いもやったが効かなかったとのことでした。
お母さんは、人間関係のいざこざが生じるたびに、自分を責め、自分の心がけが悪いからいけないのだという話をしてくれました。
大部せっぱ詰まった様相でした。
「お母さんが悪いんじゃないですよぉ、こりが多すぎるんですよ」
「こりがなくなれば大丈夫、よくなりますよ」
と私はいいました。
お母さんはベットに仰向けに寝ました。
「生きているといろんなことあるものねぇ」
などといいながら私はなにげなく触診しました。
首のうしろのこり、肩のこり、腰のこり、膝ウラゴリゴリ、足裏ガチガチ、でした。
「けっこう凝ってて痛いでしょう」
「あんまり凝りすぎると、どうでもいいことがすごく気になったり怒らなくていいときに怒ってしまったりするもんねぇ」
などど、いつものようにへらへらうるさい私でした。
ゼンソクぼっちゃんは、買ってきたペットボトルのお茶を飲んでひとりで遊んでいます。
でもときどきさみしくなって、ニコニコおかあさんのそばにきて、ちょっかいをかけてゆきます。
私は、最初、得意の膝ウラの圧痛を押さえ込みました。
「イタターッ、」
ビグビグッと全身が逃げ動きました。
これではおかしくもなるわぁ。
足が凝っていたんだぁ。
ということで、基本的な操法(つま先上げとカエル足)をやりました。
その後、足指、足裏もみもみゆらゆら操体お助けバージョンをやりました。
これで、膝ウラ解消、腰、肩も軽くなったとのことでした。
「母と子」の操体ものがたり2
そして一週間がたちました。
今日の治療も二人できました。
きょうは、ゼンソクぼっちゃんも治療の予定です。
お母さんからはじまりました。
頭痛はなし、夜もだいぶ眠れるようになったとのことでした。
首、肩のこりはほとんどなし、右膝ウラに少しだけ「こりっ」とありました。
膝ウラといっても、ふくらはぎの上の方の内側でした。
このこりが、どう動いたときに消えるのか実験です。
「右の肩を耳に付けるように引っ張ってみてぇ」
と私は左手で右膝のウラのこりを押さえ、右手で右手を持っています。
肩が上がってゆくにつれて、膝ウラのこりがみるみる消えてゆきました。
「気持ちよーく引っ張っててよぉ、もういいなぁと思ったら、力を抜いてぇ」
これを二回やりました。
これで膝ウラはくにゃくにゃになりました。
次に、うつぶせになってもらい、カエル足をやったのですが、これはどっちもつらいとのこと。
でもおかあさんはうつぶせが好きだと言います。
じゃあ
「かわの操体でもやってみますかぁ」
と私は腰から背中のあちこちのかわをシャツの上から動かしてみました。
動かしていると、すべってやりにくいので、腰のところのシャツをめくって直接かわを動かしました。
手の平を、ふにゃっと柔らかくして、ぴったりと吸い付くように当ててやりました。
「上と下、右と左どのへんが気持ちいいかなぁ? 」
「背中の上の方がいいです」
「このへんでいいですか、ここを上だねぇ」
「ええ」
「でも、下もやってみよう」
「どうかな」
「やっぱりうえですねぇ」
「はい、では上にこのぐらいでいいかな、もっと強いとこんな感じなんだけど、どうですか? 、けつこう強くずらしてもらってもイイ感じでしょう」。
「はい、きもちがいいですぅ」
「味わってよぉ、どこか動かしたくなったら動いてもイイですよぉ」
「イイ感じがなくなったら教えてよぉ離しますからねぇ」
約一分経過。
「もうなくなりましたぁ」
「はいっ」
といって私は、くっついた手をメリメリはがしました。
そして、カエル足がどうなったかの実験です。
カワをずらしているときに、からだの動きはほとんど出なかったのですが、それでもやっぱり、影響するものなんですね。
カエル足が、両方スイスイ楽になってしまいました。
「母と子」の操体ものがたり3
二人でびっくりしながら、お母さんは仰向けになりました。
私は
「お腹の調子はいいんですよね? 」
なんとなくいいました。
「いいえ、最近食欲がなくってぇ、
でも食べなくっちゃ元気がでないので
少しでも食べるようにはしていました……」
「そうですかぁ、でもあまり無理して食べなくても大丈夫ですよ」
「食べ過ぎて調子が良くないとか、肩がこるなんてこともありますからねぇ」
「じゃあ、お腹をちょっと診てみましょう、こうして押されてイヤな感じするところはないですか? 」
と私はヘソのまわりをそっとやさしく押してみました。
「どうですか、 このへんがイヤですか? 」。
「はい、そこがイヤな感じです」
「押してイヤなんだから引っ張ればいいと思いません? 」。
「はあっ? 」
と、わからないといった顔で私を見ました。
私は、押すとイヤだったヘソの左上のかわを、直接両手の親指と人差し指と中指でつまみ上げ
「こうしてかわを引っ張ってもらうと、どんな感じかなぁ? 」
とききました。
「なんか、キモチイイですぅ」
とおかあさんが笑ってびっくりしました。
あちこちつまんで引っ張ってみて、気持ちのいいところをやってみました。
そうしたら
「あれっ、お腹がググッと鳴って、動いた感じですぅ」
といいました。
私は、お腹がググッと動いたときいて、
「ブブッと出なければいいなあ」(^^;)
と思いました。
ほんとは出た方がいいのですが・・・。(^^)
「自分でもできるから、こうやってやってみてください」
「ほんとだー、できるぅ、キモチイイですぅ」
「いたずら半分、遊び感覚でやってくださいね」
といいながら私は頭の方に移動し、もう一度お腹を押してみるようにいいました。
「あれっ、押してもイヤでなくなりましたぁ」(^_^)
「けっこうお腹がすっきりしてくるでしょう」
「おもしろいですねぇ」(^^)
「おもしろいでしょう」(^^)。
そして私は、ついでというか、仕方なく首と肩を触診してみました。
すると、何を思ったのか、ゼンソクぼっちゃんが突然お母さんの足元にちょろっと来て、ゆらゆらゆらゆらなんと「ゆらゆら操体」をはじめたのです。
ぼっちゃんは、ちっちゃいおててで、つまさきを包むようにして、一生懸命5秒程やって、そそくさニコニコと逃げていってしまいました。
でも、とっても上手でした。
時間はともあれ、お母さんのからだが、ゆらゆらゆれていました。
お母さんが
「家でもやってくれるんですぅ」
とにっこり微笑むと、ぼっちゃんはうれしい顔で、はにかんで瞳を輝かせていました。
私は、いつもおかあさんにやってもらっているんだろうなぁ、と思いながら、お母さんの足の方に来て、
「ゆらゆら操体」を少しやってみせながら「こんな風にやるんだよ、ほら、気持ちよさそうにゆらゆら動くでしょう、覚えたかなぁ? 」
と、指導までして、お母さんの治療をおわりにしました。
ちなみに、ぼっちゃんは6歳で、お母さんは33歳でした。
いい加減な年齢で失礼いたしました。(^^;)
つぎは そのぼっちゃんの番です。
私は
、「サッカーやってんだってぇ、すごいなぁ」
などと、とりたててすごいことではないのですが、そんな話をしてほめました。
くすぐりは去年覚えてもらったので、今日は、お母さんも味わったかわの操体をやることにしました。
「さてと、どこを動かそうかなぁ」
仰向けになっていたので、お腹をやってみました。
ヘソの上あたりに、そっと手の平を当てて、
「うえとー、したーではどっちがきもちいい? 」。
「うえっ」
なんと、素早い反応。
「どんなかんじでいい気持ちかなぁ? 」。
「あったかいっ」(^_^ )
とにっこりかわいい。
「いい気持ちがなくなったら合図してよぉ」・・・・
・・・・・・・「もうなくなったぁ」
味わっているとき、ぼっちゃんの手足が、ちょろっ、くくっ、ピクピクッと無意識の動きをみせていました。
次に左右の胸のかわをまん中に向けて動かしました。
右側をまん中にずらすのがイイとのことで、ちょっとやりました。
「よーし、今度は横でもうつぶせでもいいから、楽な格好で寝てみよう」。
いろいろな体勢になってみて、左を下にしての横向きが楽で好きとのことで、その姿勢で、背中のかわを動かしてみました。
お母さんと一緒で、背中のまん中、上の方のかわをうえに動かしてもらうのが気持ちいいとのことで、いいだけやりました。
そして、仰向けになって、大好きなゆらゆら操体をちょっとだけやりました。
「気持ちのいい感じがなくなったら、教えてよぉ」
などといいながらゆらゆらしていると、ちゃーんと感じ取っているんですね、
「なくなったぁ」
と合図してくれました。
そんなやりとりを、お母さんはそばでにこにこ見ています。
私は、
「こんな感じで、ときどき家でもやってあげたらいいですね」
と、お話して、おわりにしました。
[原文 No.2975 - 2002/07/30 22:45〜]