これは 面白そうです。
でも、ちょっと 高すぎます。 (;;)
「ユーザーイリュージョン」
T・ノーレットランダーシュ著(柴田 裕之 訳)紀伊国屋書店・4200円
意識が身体を動かすという錯覚
人間が自発的な行為を実行しようとする意図を意識するのは、脳が行動を実行
し始めてから0.5秒後である。指を曲げるような動作をするとき、体がさきに動
き出し、意識は時間差をおいてその意図を知る。にもかかわらず、意識はみずか
ら身体に行動するように指示した、と錯覚している。
なぜ感覚器官が捉えた情報は 直接経験しないのか。
本書によると、人間の情報処理能力に原因があるという。目、耳、鼻や皮膚か
ら毎秒1100万ビットの情報が入りながら、意識が処理できる量は毎秒わずか40
ビットだけである。しかも多くの場合その半分ほどしかない。
これらの数字を並べても 実感はわかないかもしれない。身近な例を挙げると、
1枚のフロッピー・ディスクの記憶容量は約144万ビット。意識が1秒ごとに処理
できる情報量の36000倍にあたる。
一方、感覚器官が毎秒捉える情報をフロッピー・ディスクに換算すると、約7,8
枚分になる。
意識がそれを知覚するには76時間以上、つまりまる三日もかかる。
身体と同時性を保つためには大半の情報が捨てられている。また、0.5秒の遅れ
を隠すためには、あたかも刺激の直後に自覚したように、時間をさかのぼって
調整が行われ、主観的にはリアルタイムで世界を経験しているように感じてい
る。(以下略。張 競 評・毎日新聞より)
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